検収方法が大きく変わった 込真鍮 の解体と廃棄のポイント
今回は 込真鍮 と呼ばれるスクラップについてです。今までの検収(スクラップの評価基準)方法が大きく変わったことにより持ち込みされた込真鍮くずが低い評価を受けた方もおられるのではないでしょうか。
それでは今後低い評価を受けにくいようポイントを押さえていきます。
1. 込真鍮 はどんな金属スクラップなのか
まずは込真鍮はどんな金属スクラップなのかという事からお話ししていきます。
込真鍮は砲金、真鍮、銅などで組み立てられた金属製品屑です。主に水栓関係のものが該当します。蛇口、カラン、水道などで呼ばれている物はだいたい込真鍮屑です。
鉄、ステンレス、アルミ、亜鉛などの金属ダスト、プラスチック、ホースなどのダストも付着しているものがほとんどです。
2.なぜ解体をする必要が出てきたのか
それではなぜ解体をする必要が出てきたのかをお話しします。そもそも「解体する必要があった」込真鍮ですが、今までは未解体ものでも「だいたい」で処理されて買取単価の違いもあまりありませんでした。
多くのスクラップ屑は中国に輸出され、金属と金属以外に解体され、金属が日本国内に輸入されていたんですが、これを中国側がやらなくなった為に国内での解体の必要性が生まれました。国内で解体するとなるとコストが非常に高くなりますので必然的に未解体のものが大きく減額されるようになりました。
冒頭でお話しした「低い評価を受けた」のはおそらく未解体の込真鍮屑を持ち込みされからと考えられます。
3.解体をした込真鍮と未解体のものはどのくらい単価に差が出るのか
未解体の込真鍮で買取する場合は解体処理された込真鍮と比べると20%ほど差が出ると思われます。最終判断は現物を確認して検収しますが、未解体のものは解体の手間と時間、それに加えて解体時に出てくる廃棄物の処理費用が含まれます。
スクラップ屋さんのほとんどが目で見て選別をし、手作業で解体をしています。
4.“解体”で外すものと処分方法
未解体の込真鍮をどのように解体すれば良いのか、解体に必要な道具類を案内していきます。
少し時間と手間がかかりますが現場の空き時間でも解体は可能です。
それではいくつか解体してみます。
4−1.プラスチックがついた込真鍮
プラスチックはゴミになりますので外していきます。この写真のものはハンマーで叩き割ることで容易に外すことができました。
解体で取れた金属はさらに解体が必要か見ていきます。
左のほうはメッキされた真鍮、右のほうは砲金が顔を出しています。どちらも込真鍮としての評価が可能になります。
4−2.フレキシブルパイプがついた込真鍮
フレキシブルパイプは一般的にステンレス製で出来ています。込真鍮の中にステンレスはダストになりますので取り外す必要があります。ナットをレンチで緩めれば、後は手で外せるようになります。
取り外して確認したところ、フレキシブルパイプは銅製のパイプにメッキが施されたものでした。成分としてはついたままでも問題ないものでした。ただ、スクラップの検収の際に「あれっ!?」と思わせるものは極力混ぜないほうがありがたいですし、間違いも起きません。例えばフレコンや土囊袋の底の方にかすかに覗くフレキシブルパイプを見つけた時に『金属ダストあり』と評価される可能性だってありえます。スクラップは見た目も重要です。
ナットを外す際は、まずパイプ部分を切断し、切断部分をV字に折るようにハンマーで細工します。切断しただけでは断面が平べったく歪んで引っかかります。
別の未解体込真鍮クズから出てきたステンレス製のフレキシブルパイプです。上の写真と使用頻度の違いこそあれ形状に違いがありません。
磁石を近づけましたが反応しません。サンダーで削ると火花が散り、色味は銀色が出ました。サンダーを当てすぎて写真のように焦がしてしまいました(^_^;)
4−3.ホースがついた込真鍮
ホースはポリエチレン等で出来ていることが多くダストになりますので外していきます。レンチで緩めてやれば手で外せます。その他、銅、砲金、真鍮以外の金属やプラスチックも出てきそうなのである程度細かく解体していきます。
様々なものが出てきました。未解体の込真鍮に割と多く存在するのが亜鉛雑品屑です。上記のフレキシブルパイプ以外のステンレス部品も出てきました。
ステンレスの部品です。削って磁石を当てて確認しました。少量ですが込真鍮にとっては金属ダスト=不要な成分です。
ホースはゴミです。込真鍮にも金属スクラップにもなりません。
金属は使われていますが金属の割合も低く、これだけ編み込まれて分別できないものは金属スクラップとして評価ができません。断面を確認するといかに金属以外の割合が多いかがわかります。
亜鉛雑品と解体された込真鍮、それに見た目は金属の部品が出てきました。亜鉛雑品は先端に真鍮が取り付けられていましたが、解体は難しそうです。
亜鉛で間違いないか確認するためいろいろ調べていきます。まずは削ります。ステンレスや鉄のように火花は散りません。色味はステンレスやアルミと似ています。亜鉛は青みが他の金属に比べて濃いそうですが、僕は見分けがつきません。写真に見える青さは空の色が写っているためで、こんなにはっきりと違いが出るわけではありません(^_^;)。持った印象はアルミのように軽くありません。
金属のように見えた部品はあまりに軽過ぎたので踏んづけたら砕けました。やはり金属ではなくプラスチックの類でした。見ただけでは判断しづらいものはとにかく触って削って磁石を当ててみるのがオススメです。
4−4.シャワーヘッドがついた込真鍮
シャワーヘッドはダストの対象が厳しくなる以前から言われ続けている部分です。はっきりプラスチックと分かるものや分かりにくいもの、ヘッド部分は金属でできているものと様々です。
ホース部分の適当なところでケーブルカッターなどで切断して引っ張り抜いてやると簡単に外れます。切断面から黒いホースが顔を出しています。ほとんど金属は取れずこれ以上の解体には時間がかかりそうです。
他に気になったのが本体側です。軽過ぎるのでハンマーで叩いてみます。
プラスチックです。他の部品がくっついていたりすると重量で気付きにくい時もあるので要注意です。今回解体したものは強度もあり外すのに苦労しました。
5.まとめ
解体された込真鍮と未解体の込真鍮についてまとめました。
解体された込真鍮
- 買取単価が高い
- 解体するのに手間と時間がかかる
- 解体したことで出たゴミを自ら処分する必要がある
- 込真鍮の金属ダストはそれぞれの評価で買取される
- 現場での空き時間を有効活用
未解体の込真鍮
- 買取単価が大幅に減額される
- 解体による手間と時間はかからない
- 今後さらなる減額の可能性もある
解体で出てきたものの処分方法一覧
品名 | 処分方法 |
---|---|
解体済み込真鍮 | スクラップ買取 |
プラスチック類 | 普段のプラスチックの廃棄処分 |
ホース類 | 産廃 |
シャワーヘッド | 産廃 |
フレキシブルパイプ(ステンレス) | 「ステンレス」スクラップ買取 |
フレキシブルパイプ(銅) | 「メッキ銅」スクラップ買取 |
ナット | 「込真鍮」または「メッキ真鍮」スクラップ買取 |
亜鉛雑品 | スクラップ買取 |
込真鍮、真鍮ナット、銅フレキシブルパイプは一般に出てくるスクラップクズの中では単価が高いものになります。ダストがつくことで大幅に減額になるのは勿体ないと感じます。
ステンレス屑も悪い単価ではありませんし込真鍮に混ざって全体の単価を落とすのは避けたいところです。
細かく解体をして本来の込真鍮の評価を得るには手間と時間がかかる作業ですが、時間の合間をうまく利用して買取単価アップにつなげてみてはいかがでしょうか。